丸野コラム
 裏社会ライター・丸野裕行の『京都夜本上陸大作戦!』
『第10回』連載開始!精神的勃起度120%のもっこり脱法コラム!

『拒食症ホスピタルはいい女のパラダイスだった!』



リポート/田所勉 26才 仮名

拒食症ホスピタルはいい女のパラダイスだった!


拒食症・過食症は摂食障害といわれ、日本での現在の推定(受療)患者数は約3万人強と、1993年よりも六倍に激増している。

 この病に悩む患者はおもに女性。男女比率は1対10と圧倒的に女が多い。それは摂食障害がダイエットと密接に関係があり、『やせ願望』を持つ女たちがつらいダイエットを避けるための簡単な逃げ道であることは否めない。  オレも男には稀な立派な過食症だった。仕事のストレス、不規則な生活、偏った食生活などで、でっぷりと太った腹をさすり、「このままではダメだ」と一度口に入れたものを吐きはじめた。続けた結果、簡単に痩せることができた。 が、モノを喰っても気分が悪くなってトイレにかけこむ。その後、すぐに腹が減り、また食べる。吐く。これを繰り返して、1日の食事回数が20食ほどになってしまった。 オレは悩み、摂食障害の自助グループに相談。カウンセラーに病院を紹介された。 そんな辛いはずの入院・治療の中でオレはとてつもない至福の時を過ごした。絶対数の少ない男性を狙って女たちが積極的なアプローチをかけてくるのだ。万年女ひでりのオレに言い寄ってくる女とは?  ピチピチに肌の張った女子高生、この間まで現役で活躍していたファッションモデル、売れないアイドルetc  美を追求しすぎ、堕ちてしまった女たちの楽園であった。 決していい男とは言いがたいオレが過ごしたハーレムでの6ヶ月間の聞いてほしい。

こんなに楽な ダイエット法はない

 平成23年2月、輸入雑貨会社の営業部に勤務しているオレは躰に変調をきたした。  何が原因かはわかっていた。1年近く続けている『ダイエット』のツケが回ってきたらしい。  1年前、仕事に追われていたオレは体重管理などという言葉とは縁遠い生活をしていた。不規則な帰宅時間と外食。仕事のストレスで、上司の愚痴をこぼしながら毎日浴びるように酒を呑む。その結果はすぐに腹部にあらわれた。身長175cmで64キロの標準体重が85キロに激増。 二十四歳の平社員のくせに、管理職のような太鼓腹。営業まわりの途中であがる息。ズボンが血に染まるほどの股ズレ。デブだった。  同僚は合コンにオレを誘わなくなり、当時付き合っていた女子社員の彼女にもフラれる始末。  金もないし、面倒な運動も厭だ…思い立ったオレが無い知恵を絞って、手っ取り早く始めたのが、『過食・嘔吐』だった。 なーんだ! 喰ったら躰に吸収されない内に吐きゃいいんだ これが簡単。高価なスポーツウェアも、めんどくさいカロリー計算も、ダイエット食品もいらない。投資ゼロでも着実に体重が落ちていった。こりゃすごい、1ヶ月で標準体重に戻ったぞ。

 しかし習慣化した過食・嘔吐は、胃の容量以上の食物を詰めこむためになんともいえない膨満感に苛まれ、自然逆流で食べたその直後から吐き気をもよおす。  絶え間なくオレを襲うむかつき・胃もたれ・胸やけで、営業の仕事も手につかなくなってきた。  そんな症状が続いた1週間後、深夜、突然の激しい胃痛で動けなくなった。 【うががががぁ、胃が痛ぇぇ】 オレは携帯で119に通報。救急車で近くの総合病院へ搬送された。  内科の医者から『神経性大食症』と診断を受ける。なんだその病名は? 聞いたこともないが字を読めばなんとなくわかる。胃酸が出すぎて胃と食道の内壁がただれていた。 それからオレは仕事の傍ら、内科と神経内科に通院することになる。医者に言われたからだ。 「吐きダコがあるし、常習化してるね。このままいくと、躰に色んな弊害が出てきますよ。直しましょう。まずストレスから」 「は、はあ…」 悪いが先生、こっちはこれっぽっちも自分が病気だとは思ってないんですが…。 過食・嘔吐は立派な病気。命を落とすこともあるぞ、と脅された。

『言いっぱなし、聞きっぱなし』 がここのルール

神経内科の医者・河野から摂食障害自助グループ『F』に入会することを勧められる。 少し宗教くさい匂いはするが、とりあえず『F』のグループミィーテングが行われる会場『五条キリスト教教会』へオレは行ってみることにした。厳粛な感じがするこんなところへオレみたいなヤツが入ってってホントにいいのかよ。 会場はやはり女性の数が多く、20人ほど。一種、オレが居づらい空気が渦巻いている。 牧師とシスターが眼に入った。おいおい、救われるために祈れ、とか言われないだろうな…。 ここの告白の会でのマナーの原則は『言いっぱなし・聞きっぱなし』ミーティングが始まり、告白がはじまると、みんなどうでもいいことでイジイジと悩んでいる。 所詮は女。オレだけは違う、とふんぞり返って聞いていた。でもオレがこうなった理由は何だ。 結局ストレスじゃないか。そう思うと、やはり自分も病気のような気がしてきた。 周囲の女はオレへの警戒を解いたらしく、通った3回目の会合あたりから声をかけられるようになった。病気を共有している連帯感で、治そうという気になりはじめた。  それでも、オレの「デブに逆戻り」という強迫観念から過食・嘔吐は止まらず、仕事先で激しい胃痛に襲われ、病院に担ぎこまれる。  3度目の急患になったときには、過食症から拒食症へと病状が移行していた。食べ物が、喉を通らずに、低血圧・低血糖・栄養障害・肝機能障害をおこしていた。体重も62キロあったものが、47キロに落ちた。  担当医師の河野は入院することを勧めてきた。場所は群馬県の『Dホスピタル』。徹底的に治療を施すので、自由な生活はできないが、病気が完治する確率が高い病院だという。 このままでは、仕事も生活もままならない。 縁故の会社で一年間くらい、休職のムリもきく。医療保険で入院給付金も1日1万円出るし…いい機会だし、ちょっとくらいボーっとしてみるか… 「よーし」とオレは意を決して、入院の紹介状を書いてもらうことにした。

自由のきかない 治療がはじまった

平成13年6月、梅雨でじめじめした季節にホスピタルのある群馬県の山中へむかった。JR渋川駅前から約20分。そこから山道を15分ほど歩く。 生活道具の詰まったスポーツバッグを抱え、銀杏並木を抜けると、そこに鉄筋二階建ての奇妙な形の建物があった。バカでかい。 細長い割り箸を何本も積み重ね、グレーのペンキを塗りたくったような病院だ。あまり温かく迎えてくれるようなアットホームな雰囲気の建物ではない。 ベッド数107床、開放病棟99床。摂食障害のより、アルコール依存症の治療・カウンセリングが主で、西棟の摂食障害専用病棟には女40人弱、男5人足らずの患者が入院しているとのことだった。

アル中患者の入院病棟とは別棟になっているが、酒が切れて幻覚の出た患者のこの世のモノとは思えない叫び声でも聞こえるんじゃねえだろうな。 いたるところに鉄格子が張りめぐらされ、一見、医療刑務所のようにみえる。 【薄気味悪りぃ…】

オレが、玄関前の駐車場に足を踏み入れたとき、ちょうど「ワオォォーン!」という雄叫びが山に響き渡った。何だよ、今の!   まず自動ドアをくぐり、受付でオレの視線に入ったのは待合に座るデブ女。女を棄てているのか化粧っ気は全くない。トドが長椅子にうな垂れている。 家族と共にやってきたようで、年老いた母親に抱きかかえられて診療室に入っていった。 あんなのと一緒にストレッチでもすんのかよ? こんなトコにいるだけで悪化しちまうよ… 暗い気分で、病棟と書きこまれた黄色い線に沿って廊下を進む途中、ババアの看護士に「田所さん、病棟内での“女性患者さんとの恋愛、性行為は禁止”ですからね。 こういう施設は男性患者の絶対数が少ないです。アナタ、お若いからお願いしますよ!」と念を押された。ババア、頭おかしいのか。誰が、あんなトドと恋するか!   ほとんどの入院患者が女性なので、男性患者専用の病室はない。そのために3階ナースステーションの隣の充分な監督管理が必要な重症患者用病室に放り込まれた。 勝手にメシを貪ったり、吐いたりしないように監視したいのだろうか、どの病室も多くが個室で鍵付き(外鍵)で用意周到だ。  病室でパジャマに着替え、担当になる女性看護士から治療のカリキュラムを聞かされた。 「初めの療法は、行動制限摂取療法です。1200キロカロリー摂れたら制限した項目を許可していくっていう、簡単に言えば“ご褒美療法”ですね。まず手始めに“テレビ・読書・新聞・電話・トイレ以外個室の外に出ること”を禁止します。これができないと、栄養補給でIVH(高カロリー点滴)をやりますからね…」

「は、はあ…」 よくわからないが、部屋から出られないとは大変そう。オレは、いやいやながら了承した。  食事は膵炎食と糖尿病食。低脂肪の干からびた鶏肉や箸で摑んだだけでボロボロに崩れる鱈の切り身。味気ない料理には調味料すらかけることも許されない。 水分以外口にできないオレは初めの頃、匂いを嗅いだだけで胃液をぶちまけた。オレは苛まれる吐き気と闘いながら、無理やり食べた。無理に詰め込んでも、はらわたがすぐに喉元まで上がってきそうになる。 指を突っ込むと、看護士がすっ飛んできて、拘束帯でベッドに括りつけられる。トイレにも行けず、小便を何度も洩らした。一般の人にはわからないだろうが、摂食障害とはそういう病気だ。

オレは、2週間半で男性通常食の2000カロリーまで頑張った。こうして、地獄の“個室隔離”は解除された。 ようやくホールに集う患者たちと会うことができた。 三週間弱ぶりのシャバの空気。オレはテレビと卓球台が置かれた広々したホールへむかう。だが… 【澱んでいる…カビくさい…】  20坪ほどのフリースペースでは、皆思い思いの過ごし方をしていた。恐ろしいほどのブスばっかり。 しかもそのブスたちがオレに好奇の視線を飛ばしてくる。怖い… 全体的に摂食障害とは若い世代がなりやすい病気で、年齢の高い患者を見かけることは少ない。でも、若いだけ…キツすぎる… 個室を出ることができて、朝七時半起床。そこから中庭へ出ての強制ラジオ体操。 それが終わると、検温→血圧測定→体重測定→朝食→自由時間もしくは診療という順番で朝を過ごす。なにか悪さをすると摂食障害病棟の看護婦から担当医に告げ口があり、週に2度のカウンセリングでこっぴどく絞られる。

3度の食事は看護婦の立会いのもと、食堂で摂る。30分以内に決められた一定の量の給食を食べつくす。食べられるまで席を立つことは許されない。オレは拒食だったが、過食の人間も中にはいる。 しばしば食事の取り合いなどで喧嘩が起き、刑務所のようだった。  どうしても食べきれない芋の甘露煮を、オレが恨めしそうに見ていると、ヒソヒソ声が隣から聞こえてきた。

「それ、食べないの? フガフガ…」  悪人顔のホクロ女が、鼻息も荒く、獲物を狙っている。 「は、はあ…でも…あげたりしたら怒られるし…」 「いいのよ。それに眼がないの、アタシ。フガフガ…」  この会話を聞いて、前に坐っていた猛禽みたいに鋭い眼をした女がイチャモンをつけてきた。 まるで街で肩がぶつかったチンピラだ。 「私がそれ好きだからって、知ってるでしょ! 今日子!」 「何よ! 誰だって好きよ! フガフガ!」  女二人は、オレの眼の前で取っ組み合いをはじめてしまった。 女は甘いものに眼がない。しかし、ここでは食事に申し訳程度つくデザートくらいしか食べることができないのだ。 この病院ではアメ玉ひとつでも問題が起こる、危うさを孕んでいる。“Tシャツ一枚で、殺しが起こる”アジアの貧しい内戦地的な思考回路で廻っていた。これからの集団生活がなんだか不安になってきた。 いつまで続くのかなぁ~、こんな生活…

ブスの宝島から 美女のパラダイスへ

入院して2ヶ月が経った。ホールには相変わらずブスしかやってこない。美人はいないのか、美人は!  その代わりと言っちゃなんだが、ブスからのプッシュが猛烈だった。 獄本野ばらの乙女チックな著書を愛読している森三中の村上似のデブにラブレターを渡され、王貞治風に鰓が張りホホのこけたいかにも喰っていなさそうなノッポの女に告白されたり、日柄一日食事をチューイングしている阪神の金本似の女にストーキングされたり、散々だった。 なんだ、この動物園は!

女日照りの続いたオレは、妥協も考えた。しかしそれでは人間としての尊厳にも関わる。オレは自問自答しながら、毎夜のオナニーで、めげそうになる自分を慰めた。 そんなホールで、数少ない男性患者の神田(28才)と出会う。丸の内で証券マンをやっていた神田とオレは中庭のベンチで話した。 神田は田所と同じストレスからの過食で、嘔吐を続けてしまう。オレのように拒食になる一歩手前というヤツだった。

「とんでもない、病院で参っちゃった…」 「とっかえひっかえ、してるの? 田所君モテそうだもん」  初めに神田の言っている意味がわからなかった。なんだか、オレとは言っていることとはニュアンスが違う。 「え? 冗談じゃないよ。こんなトコ」 「いい女ばっかりじゃん」 「へ?」 「この病院は凄いよ。一線を退いたモデルとか、拒食症で消えたアイドルなんかもいっぱいいるし、日本で1番有名な病院だから、藁をもすがる思いで入院するんだよ」 「でも、そんな女、いないよ。だってブスばっかりじゃん」 「違うの。みんな芸能に身を擱いてたからプライドが邪魔しててホールには出てこれない。潰れたモデルと芸能人ばっか。それに、落ちぶれた様をみせたくないから『対人恐怖症』になってる。みんな容姿に全神経を集中させるような商売やってるから、数キロの体重増加で精神のバランスを崩す。ちょっとしたことで潰れちゃうんだよね。これでも俺、退院した元モデルと病院内で付き合ってたもん」  興奮してきたオレは、ダイレクトな項目を質問した。 「や、ヤった?」 「めちゃくちゃ、ヤった。男が少ないでしょ。だから、男の看護士、医者はモテモテ。スタッフの中で、女順番ずつ、相手してやってる奴何人もいるよ。摂食障害の女共には、男がいないとダメなヤツが多いんだ」  神田の説明によると、普段は病室に引っ込んでいる彼女たちは、治療でもある院内グループミーティングと虫歯治療の時間に這い出してくるらしい。そう聞いたオレは、希望を胸に率先して参加した。 場所は病棟の中の大きな談話室。学校の視聴覚室みたいに備品の整った15坪くらいの部屋。十五人ほどの入院患者がここに集い、自分の告白をする。『F』のミーティングと似たようなものだ。

「女性患者と親密になる穴場だ」神田はそう言ってたな…  とりあえずウオーミングアップがてらの参加。周囲に顔を晒して、安心させることから始めよう。治療の一環なので、強制的に参加させられるミーティングに、点滴をぶら下げた美女の姿があった。ここにも、あそこにも。美女、美女、美女のオンパレード。  我慢、我慢と顔見知りも増えた三回目。とりあえず、何人かのグッとくるような女に声をかけてみよう、オレはそう思った。 手始めに隣に坐った20代前半の薄幸そうな女に声をかけた。 「ボク三回目なんだけど…。キミ、この病院長いの?」 ニコニコと応じるこの女は、男に捨てられて過食症になった。「これではいけない」と思い、冷蔵庫のモノをすべて放棄して部屋に籠もる。空腹の極限状態の中、おかしくなり、手首の肉を喰いちぎったらしい。最悪だ、普通じゃない… 気持ちがブルーになったオレ。こういう女以外を物色しよう、と頑張った。  ミーティングが終了し、その場にいる女全員が泣きじゃくる中、オレは手当たり次第に声を掛けまくった。 病室に戻るまでに、なんとかホールで話す方向に持ってはいけないか。 1人目の女は、怯えたように早足で逃げ帰った。2人目の眼の大きな背のちいさい娘。 どこかでみたことがあった。なんかの雑誌のグラビア。彼女にも断られた。なんだ、ダメじゃんか…

生まれて初めての 『逆ナン』

「最近、入院してきたの?」  オレは驚いた。声をかけまわろうとしていた自分に逆にお声がかかった。振り返ると、茶髪のかわいい娘。健康的な小麦色の張りのある肌。今でいう上戸彩似。 一瞬眼が合っただけで「ヤリてぇ」とオレはマジで思った。名前は木村ミカ。年齢は18才。 「そうだけど。ああ、オレ、ぜんぜんこの病院のこと知らなくて。よかったら、教えてくれない?」  オレのことをちょくちょく見かけ、安心した彼女は、こころよく引き受けてくれ、ホールでお互いの話をした。さすが最近の10代は男と話し慣れている。 彼女は、16才のときにコギャル雑誌の『egg』に登場し、常連のモデルだった経歴を持つ。現在も高校に籍はあるらしく、現役の女子高生だった。 活躍しているときに過食症になり、ここに入院となった。トイレを汚す・詰まらせるのトイレ占拠と治療室に立てこもる常習犯。とんでもなく医者に悪態をつくらしい。 「ミカ、今吐けないから超デブでしょ?」これが口癖だが、別に太っちゃいない。 街に戻っても、ナンパ、ナンパの応酬で前に進めないほどだろう。

 それから度々ホールで待ち合わせては、話すようになった。四回目。どちらともなく、手を握った。 熱く汗ばんだお互いの指が絡む。掌の内側を彼女はくすぐる様に中指で掻いた。 こりゃあ、イケるかも!  オレは勇み立って、ミカの手を引くとナースステーションからできるだけ離れた男子トイレに連れ込んだ。空の検尿コップが積み上げられた決して小綺麗とはいえないトイレの中でキスをする。 舌を突っこんでも拒否らないミカ。10代の娘とキスなんてここに入院しなければ、なかなかできないこと。オレは歓喜に奮えた。 「ツトムのこと好きだから、付き合ってよ」 唇が離れた途端に、ミカは交際を口にした。唾液が糸引くミカの口元を見ているとオレはたまらなくなり、ミカのパジャマをたくし上げた。ブラを引き上げ、まだ硬い胸を揉みしだく。

身を捩るミカの顔を股間に持っていってフェラさせ、太目のウエストを抱き寄せてバックから挿入。 こんな娘とできるなんて…もうダメだ! オレは拒食症に感謝しつつ、暖かいミカの中に、たまらず絞り出した。 男子トイレは誰かが入ってくる確率が低いし、声さえ聞かれなければ、大丈夫。 ミカの口にタオルを捩じ込み、自由時間の終了する4時半まで何度もヤリ続けた。

この勢いで ヤリまくれ

 次の日にホールへ行くと、ミカはこの病院で友達になった元売れないアイドルの娘と談笑していた。 『J』とかいうアイドルグループのメンバーの1人。次の獲物を彼女に絞った。 篠田レミ(22才)―今で言うと、AKBの娘みたいなタイプ。過食症。ヒステリーで、一度病院の屋上から下にむけ嘔吐した経験あり。幼児退行の気があり、時々赤ちゃん言葉を使う。

 ミカとの関係で味をしめたオレは、レミにも色目を使った。やっぱり若い女はいい。2人の会話に割って入り、意気投合したフリをして取り入る。 「アイドルってホントにプロデューサーに喰われるの?」 「私は拒否ったけど、ひかるは誰とでもヤッてたよ。だからあそこまでなれた」 芸能人だ、と自尊心の強いマミはちやほやすれば、何でも喋った。 3度目に会ったときには、むこうからアプローチをかけてきた。 「ミカちゃんは、援交でもなんでも平気な子だからダメだよ。サイテーだもん。平井っていう看護士ともできてるし、私にしない?」  マジか? そう言って口説いてくるおまえの方が最低だ! とオレは思ったがもったいない。きっちりと頂くことにする。彼女とも男子トイレで即ヤリした。 オレにレミは子供のように甘え、命令すればどんな恥ずかしい行為にも従った。  2人と1ヶ月間ヤリまくったが、どうも獲物のかかりが悪いし、効率が悪い。 なにかいい手はないかなぁ…? そのとき、以前食堂で起こったあの一件を思い出した。あれだ! いいアイデアを思いついたオレは地元のダチに連絡を取った。 「おい、チョコレートとか、アメ玉とか、甘いもん送ってくれ。腐らないやつ頼むわ。急いで!」

もっとちょうだいよ~ 何でもしますから!

 2日でダチからの荷物が届いた。書籍という名目で郵送してもらった。オレは拒食寄りの症状なので、しつこく差し入れの中身を詮索されるようなことはない。 中を開けると辞書の箱の中にお菓子がいっぱい詰まっている。さながら、ヤバイもんの密輸のようだ。 オレはブツをベッド下、収納ケースの中に隠し、計画を練った。これに喰らいついてくるのは、間違いなく過食・嘔吐の患者だ。 嘔吐を繰り返す患者は、逆流する胃酸によって虫歯になる可能性が高い。オレもたしかに虫歯。担当医師から「治療を受けるように」と再三言われていた。まず、歯科診療を受けている連中はそれに当てはまる。

 虫歯治療のために、オレは歯科の予約を取った。『お菓子大作戦』がうまくいくかどうかわからないが、廊下の待合でイチかバチか、きれいどころに声をかけてゆく。頼む、うまくいってくれ!  黒谷友香をぽっちゃりさせた感じの女子短大生・ナツミ(19才)に狙いを絞った。ブランド物の話で盛り上がり、そっと身をよせたオレは小さな声で言った。 「あとで一緒に、トッポ喰わねえ? き、君、かわいいからさぁ。ど、どっか二人っきりになって…」 「う、うそぉ! あるの? 行く、行く!」 「え? い、いいのぉ?」  自信はなかったが、案外簡単にことが運んだ。男子トイレに連れこむと、懐から取り出したトッポを食い入るように見つめるナツミ。 女の尋常ではないお菓子に対する執着は、オレの予想をはるかに超えていた。 「あのぉ、む、胸見せてくんないかな?」 「なんでもいいから、早く、早くちょうだいよ!」

 これはイケる。確信したオレはトッポを喰わせながら、ナツミのたわわな乳を揉みまくった。 なにをしたってナツミは心ここにあらず。それから黙って挿入。ロッテのおかげで、ご馳走になりました。 オレはこの方法を続け、それから2ヶ月の間に5人喰った。カタログショッピング『ニッセン』のモデル、同室の女性患者との恋愛関係に悩む『Rey』の元モデル。 元女子大生モデル、コカコーラのCM出演経験ありの女優の卵などなど、過食といってもデブとは程遠い完璧に近いスタイル。 中には、体型が完全に戻っているのに、精神が病んでいて、自分をデブと思い込んでいる奴もいる。計六人はお菓子欲しさに身体を開く。簡単だった。  そろそろ太目の女に飽きたオレは、痩せた女とヤリたい。ギクシャクした骨と皮のような女はどんな味だろう。  9人目に眼をつけたのは、IVH点滴をいつもぶら下げている痩せの女。北村真由美(27才)。クリスチャン・ディオールのショーモデル。 定期診療で同じ時間帯になった。「すごくお綺麗な方ですね」と声をかける。淋しそうにしていたので、みっけモンだった。 自傷行為がひどく、リストカットの繃帯ばかりいつも巻いている女。話をすると異常に自虐的で、他の若い女性患者のことを羨み、嫉み、「私はもう歳をとりすぎた」などと泣き出す始末。

一応、オレも自殺未遂で三回入院していた、と嘘をついて話を合わせた。 オレは優しく接し、中庭でのデートを取りつけた。 そのデートで、うまく丸めこんだと思ったオレは、強引にいつものトイレで行為に持ちこむ。 ところが痩せの女は股間の骨が鋭く、腰を振っているときも当たって痛い。 おまけに鎖骨下静脈から針を深く入れる点滴をしているために、激しく動くと管が抜けてしまう。さすがのオレもこの時は悪く思い、諦めた。 女はちょっとぽっちゃりしてる方が気持ちいい、とオレは悟った。 オレは月・火・水・木・金・土とローテーションで女たちを抱きまくった。日曜日は見舞いの家族が多いために休息をとる。一週間に一日くらいは控えないと躰がもたない。 しあわせな日々を過ごしてきたオレにも運命の日が訪れた。忘れもしない、平成13年12月22日。 オレが床についている間に問題が発生。ただでさえ他患との競争心が強い摂食障害の女性患者たちが田所の奪い合いをはじめた。深夜、ホールで喧嘩騒ぎが起きたのだ。 「あの人はアタシのもんよ! 臭ぇ、マンコしやがって!」 「売れないカスアイドルのくせして、調子こいてんじゃねえよ!」

顔面が腫れ上がるほど、ハンガーで殴り合いを演じたミカとレミ。看護士連中が精神安定剤の筋肉注射片手に奔走し、ベッドに拘束された二人はオレのことを吐いた。翌朝、オレはナースセンターに呼び出しを喰らった。 「全部わかってるんですよ、田所さん!」 「は、はあ…」  看護責任者のババアは腕組みで仁王立ちだ。 あ~あ、バレちゃったよ…。喧嘩なんぞしやがって! 「昨日の件だけじゃないでしょ! お菓子で釣って関係を持っていた女たちが互いの存在を意識しはじめて、話し合って、女性看護士に相談していたんです。病院側が内偵をすすめていたら、何ですか、この騒ぎは!」

 マジかよ! 病室に引っこんでりゃいいものを! あいつらが顔合わせるはずないなんてタカ括って…オレの考えが甘かったってことか? 「それにアナタの病気はもう治ってますよ!」  え、ホント? …だ。うれしいような、哀しいような… その日、オレは荷物をまとめるように告げられ、『Dホスピタル』を強制退院させられた。 ★

 平成14年の正月。オレは家に戻ってきた。ムチャをしすぎて叩き出されたが、気がつくとオレの摂食障害は治っていた。女とヤルことへの執着で、毎日規則正しい生活、栄養バランスのよい食生活を続けた結果だ。 普段の生活に戻ったオレはあの6ヶ月間の味を思い出し、今でも女が多くて、男が少ないハーレムの環境を探し回っている