丸野コラム
 裏社会ライター・丸野裕行の『京都夜本上陸大作戦!』
『第6回』連載開始!精神的勃起度120%のもっこり脱法コラム!

発射NGでギャラなし!女優に罵倒!劣悪な労働環境に、ついに男たちがキレタ!


~AV撮影現場騒然!汁男優たちの叛乱事件の一部始終~

羽佐間武彦 東京府 50才 元AV制作会社経営

十数年前から空前のザーメンビデオブームに火がついた。

女優の顔にたっぷり濃ゆいザーメンをぶっかけられ、観ている者は底はかとない征服感に酔いしれるというこの手のビデオ。セルでは、常に上位にランキングされる人気ぶりだ。

 そこで活躍するのが、女優と絡みもせず、精液を発射するだけの“汁男優”。アダルトビデオ業界のみならず、その存在の認知度はあがった。

実は、オレは7年前までアダルトセルビデオの制作の小さな会社を営んでいた。しかし、汁男優への待遇をキッカケにある事件が起こり、廃業に追い込まれるまでになった。

 今日は汁男優にまつわる、思い出したくもない事件を話したいと思う。

おまえらは、人間じゃないんだから


15年前、東京でセル専門のAV制作会社を立ち上げたオレは、月に数本の作品をつくり、当時インディーズビデオ販売の台頭だった『ビデオ安売り王』などに卸していた。

制作費平均80万で、撮影のペースは早く、1~3日以内にすべて撮影をしてしまう。

開業して8年。『ソフトオンデマンド』など元気のいい企業が出現して、インディーズビデオ業界も活性化し、発展途上の一途を辿っていた頃。

その日は、人気がジワジワと出てきたぶっかけモノの撮影をしていた。オレは現場である借家のリビングの片隅で立ち会って様子を見ていた。

いわゆる無許可撮影。10名のスタッフが撮影準備に犇く中、むさ苦しい男優たちが入ってきた。汁男優、通称・汁男(しるだん)、またジューシーボーイズとも呼ばれる。

汁男を集める元締め・汁頭(しるがしら)が引率して、まるで修学旅行のようだ。素人参加型の企画以外の汁男優は、登録制のコーディネーターがついている。

派遣会社のように電話一本で手配ができる業者が汁頭だ。

「よろしくお願いしま~す!」

 声を揃えて、挨拶をしてくるが、正直な話、スタッフたちは人間扱いしない。発射できなければ、ノーギャラ。

食事代も出なければ、交通費すら出ない。現場では、ゴキブリ並みの待遇をされるのが、彼らの立場だ。

「汁男は、服脱いで階段のところで待ってて!」

 助監督に素っ気なく指示され、ぞろぞろと現場を去る20人の汁男優たち。

「臭っさ! 相変わらず、キモい奴ばっかりじゃん! イヤだなぁ、あんな連中のかけられるのぉ」

 シャワーを浴びた女優の吉川あみ(仮名)が汁男優たちに聞こえるように嫌味を言いながらやってきた。

 彼女、顔は可愛く人気が高いが性格は最低。機嫌が悪くなると、控え室に籠もって出てこないこともしばしばだ。

「ゴメンね、今日は頑張ろうね、ね!」

 必死で機嫌をとる監督が、ギロリと汁男たちを睨み、声を張り上げた。

「撮影するぞ! お前ら、早くこっち来いよ!」

 連日のハードな撮影で、ピリピリしているスタッフたちがカメラを回しはじめる。

 撮影がはじまり、ベッドの上に座ったあみが笑顔で汁男たちを見渡し、からむ男優といちゃつきはじめた。

「これから、みんなにドロドロにされるからね!」

「え~、イヤだ~! 恥ずかしいよぉ~!」

 ヘタな芝居が喘ぎ声に変わる。キス、胸、アソコ、男優の攻めが本格的なものになってくると、汁男たちがモザイクがかからないように、ブリーフの中でチンポをいじりはじめる。

カラミに入り、本番がはじまってから女優にむかって発射するのが段取りなのだ。待機の状態が続く。

女優に挿入され、1分後、第1弾目のザーメンが女優の顔に飛んだ。次々に小気味よく発射していく汁男たち。

そこに気の弱そうなガリガリの汁男が1人。顔の前にチンポを持っていくも、なかなか出ない。

「おい! てめぇ、なにやってるんだ! どけよ!」

 カメラを止めて、彼にスリッパを投げる監督。

「てめえら、人間じゃねえんだから、出すことぐらいしかできねぇだろうが!」

 監督の激怒に続いて、あみが愚図り、罵声を浴びせはじめた。

「さっきかけてきたバカの汁で、目ぇ痛ぇ! ふざけんな、クズ人間! どいつだよ!!」

 先程の演技とは正反対の悪態ぶり。メイク担当が駆け寄って眼の周りの精液だけをふき取っている。撮影が中断された。

監督が半殺し、女優はレイプ

 監督とあみの続く罵声を遮るように、発射を終え、腕に2回目を示すバンドをつけた汁男が怒鳴った。

「おまえら、調子こいてたら、殺すぞぉ! ゴオラァァ!」

 そのまま、ブリーフ姿で監督の顔面に飛び蹴り。ま、まさか!

ふっ飛ぶ監督。女性スタッフの悲鳴が響く。馬乗りで殴打される監督は血と歯を飛ばしながら、気を失っていた。額が切れ、顔面は血まみれ。

 止めに入ろうとするスタッフを汁男のデブの大男がフガフガと鼻息荒く弾き飛ばした。

つ、強ぉ~!

部屋の鍵を閉め、3~4人の汁男がオレたちスタッフが逃げられないように見張る。10人対20人。負けることは明らかだ。

「ちょ、ちょっとぉ、どうしたの? 何があったの?」

 ザーメンパックで目が見えないあみが不安に駆られ、がなっている。

「ふざけやがって! 1発3千円くらいのギャラで、何様のつもりだ、コラァ!」

「すまなかった! オレは制作会社の責任者だ! 機嫌を損ねたんなら謝る!」

 オレがそう言った途端、他の汁男から、アゴにパンチを喰らった。床でのたうつ。

 空気が凍りつき、スタッフたちが静まり返る。

「おい、この女姦っちゃおうぜ! 順番な!」

 生殺しのような撮影に興奮した汁男たちがあみに群がる。

「イ、イヤァァ~!!」

「腐れマンコが! 20人も相手にしたら性格も直るぞ!!」

 汁男の半分がそのままあみを犯しはじめた。もちろん、すべて中出し。

「あみちゃん、イ、イクよー!」

「オレの種を受け止めろぉ~!」

「ぐぐぐ、いぐぐぅぅぅ~!」

 阿鼻叫喚の中、ある者はレイプに参加せずにつむじだけを舐めてオナニーし、またある者は脇の下にチンポを挟み射精する。

いつもぶっかけるだけのフラストレーションを思い思いの方法で満たす汁男たち。オレを含め、スタッフたちは見ているしかなかった。

行為が終わると、撮影テープを取られ、みな現場を後にした。

 業界の性質上や元々過激な撮影で警察から厳重注意を受けていたこともあり、警察に通報することもできず、スタッフ全員何も起こらなかったということで話は終わった。

 しかし、暴力団絡みのあみのモデル事務所は事件を起こした張本人たちを捜すよりも、契約違反の違約金としてケツをウチの制作会社に拭け、と慰謝料2千万を要求。オレは事務所を閉め、支払った。

元々は関係の薄い、1人2千円の紹介料もらっていた汁頭も、汁男優たちの情報や素性など知るわけもなく、モデル事務所に追い込みをかけられて逃げた。

■  今もアダルトビデオ業界で立場が低い汁男優たち。使う人間の取り扱いを間違うと、どんなしっぺ返しをされるかわからない。そのことを思い知らされた事件だった。

(了)

取材・文/丸野裕行(裏社会ライター)